ばけばけ第11週

ばけばけ
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初めての日本の正月

ヘブンは日本で初めての正月を迎えていました。羽織袴をトキに着付けてもらい、日本の正月の挨拶も教えてもらって、とても嬉しく上機嫌でした。松江に来た頃より日本語は上達していました。錦織が年始の挨拶に訪れ、これから今までよりも一層付き合いを深めたいので、学校以外ではヘブン先生ではなく、ヘブンさんと呼ぼうと思うのだがどうだろうかと言うと、ヘブンは喜んでそれを受け入れました。錦織もヘブンとの距離が縮まったと感じ嬉しく思うのでした。そして、一年の抱負を聞くとヘブンは日本滞在記を完成させたいので、鍵となるテーマ、「ラストピース」を見つけたいと言いました。錦織がトキに通訳すると、そういえばこの頃、アトヒトツ、アトヒトツ、とばかり言っていることに気づき、ふと不安になりました。書きあげたら、ヘブンは松江を去り、いなくなってしまう…。

花田旅館では松野家の人達も招かれて、賑やかな新年会が始まりました。平太はヘブンに乾杯の音頭を頼みました。

 

ヘブン
ヘブン

ショウガツ、タノシ!スバラシ!

デモ、ツギ、フユ、ワタシ、マツエ、イナイ。

みんなの顔から笑顔が消え、妙な空気になります。

トキ
トキ

やっぱり通りすがり…なんですかね…

錦織は「通りすがりなんですかね…」と言ったトキの言葉を忘れられずにいました。

一方、松野家はヘブンがいなくなるとトキの20円の給金はなくなってしまいます。勘右衛門と司之介はヘブンが松江に残るようヘブンとリヨの縁談を応援することにしました。リヨも父に頼んで寒さの苦手なヘブンのためにストーブを付けさせたり、なんとか気を引こうと策をめぐらせるのでした。

リヨのプロポーズ

江藤家でヘブンのために快気祝いが行われました。リヨはヘブンに自分がどれほどヘブンを慕っているか、ついに打ち明けました。そして「Please,stay Matsue with me…as your wife.(私を妻にして、松江にいてくれませんか)」とプロポーズするのでした。ヘブンはとても驚きましたが、リヨの真剣な表情を見て、自らの過去を話し始めました。

ヘブンはギリシャで生まれましたが、ほどなくして両親と生き別れたと言います。両親と別れたヘブンはアイルランドの叔母に育てられた後、いろいろな国を転々とし、アメリカに渡ります。アメリカ・オハイオ州で新聞記者になったヘブンは一人の女性と知り合い、恋に落ちました。マーサという女性でした。マーサは黒人にルーツを持つ女性でしたが、オハイオ州では違う人種との結婚は州の法律で禁止されていました。ヘブンはそれをわかっていながらマーサと結婚したのでした。はじめは希望と幸せに満ちた生活でした。ところが、マーサとの結婚が違法であることを理由に新聞社を解雇されます。マーサはだんだん自暴自棄になり、ヘブンはそんなマーサを救うことができずとうとう別れを決めたのでした。それからヘブンは、人と深く関わることをやめた、と言います。情を交わした人との別れがよほど辛かったのでしょう。どの国でもどこへ行っても、ただの通りすがりの人間として生きていくことにした、というヘブンの悲しい告白を聞いて、皆が黙り込んでしまいました。錦織は自分もヘブンにとっては、ただの通りすがりでしかないのか…と考え込むのでした。

帰宅したヘブンは悲しそうに見え、トキは声をかけることができずにいました。ヘブンはおもむろに窓を開け、リヨがくれたウグイスを空に放しました。リヨとのことは終わったのです。

錦織の気持ち

翌朝、ヘブンは大声を発して飛び起きました。トキが驚いて声をかけるとヘブンは片言の日本語と英語をごちゃまぜにして、身振り手振りもして説明します。どうやら「金縛り」にあったようでした。

ヘブンはいつものように錦織と登校しますが、錦織は尋ねました。ヘブンにとって、自分はどういった存在なのかと問うたのです。するとヘブンの口から出たのは錦織を落胆させるには充分すぎるほどの言葉でした。

ヘブン
ヘブン

スバラシ、ツウヤク

翌日から錦織はヘブンを迎えに来なくなってしまいました。ヘブンは錦織の態度が急に変わってしまったことの理由がわからず、困惑するのでした。

 

第12週

 

 

 

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