ばけばけ13週 サンポ、シマショウカ。

ばけばけ
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銀二郎からの手紙

ある晩、トキは怪談を語り終え、意を決してヘブンに問いました。「滞在記を書き終わったら、お帰りになりますか?」ヘブンはその言葉を理解して思わず答えに迷ったような顔をしましたが、日本語がわからないふりをしました。

翌朝、フミから銀二郎の手紙を渡されたトキはその手紙を読みました。松野家の人たちは何が書かれているのか気になってしかたありません。手紙には3年前に会社を始め今は社長であることと、4月に松江に行くから会いたいと書かれていました。松野家の人たちが驚く中、トキは思わず頬が緩んでしまうのでした。

トキは銀二郎が松江に来る日に休みをもらおうと思いました。ヘブンは「ホリュウ」と言って渋ります。しかし、郵便が届き手紙を読んだヘブンは急に態度を変え「ヤスム、ドウゾ。」と休みを認めてくれました。急に態度が変わったので、トキは誰の手紙だろうかと差出人の名前を書き留めておき、錦織に聞きました。差出人はヘブンの机の上の写真の女性、イライザだとわかりました。イライザが同じ日に松江にくるのかもしれないという錦織の言葉になぜか動揺するトキでした。

4月になり、銀二郎は松野家へ来て出奔したことを詫びました。そしてトキがヘブンという外国人の女中をしていることを聞かされます。勘右衛門は銀二郎になんのためにやってきたのかと聞きました。銀二郎は真剣な顔つきになり、トキとやり直したいのだと言います。銀二郎は今では月に200円も稼いでいる、トキと松野家の人たちを東京に呼び一緒に暮らすだけの余裕があると言いました。松野家の人たちには願ってもない話で、あとはトキの気持ち次第ということになりました。銀二郎はヘブンの家が見える花田旅館に泊まっていました。明日はトキに会うのです。その夜、トキは怪談を語り終えて、ヘブンに言いました。「明日は前の夫と会います。」イライザに会えるのを楽しみにしていたヘブンの心に影がさし、沈む心にヘブンは戸惑うのでした。

イライザの訪問

ヘブンはイライザとの再会を喜んでいました。机に写真を置き、手紙を書くときには話しかけるほど会いたかったイライザが目の前にいることを、ヘブンはとても喜びました。

その頃、いつもしない化粧をしたトキは、銀二郎と連れ立って出かけました。

ヘブンはイライザを連れて花田旅館へ行き、ツルに仕事の同僚だと紹介しましたが、それを聞いたイライザは「そんな言い方はないでしょ、せめて大切な友達と言って」と抗議します。そこへ錦織が銀二郎を訪ねてやってきます。ヘブンの手紙でお互いのことを知っていた錦織とイライザはすぐに打ち解けたようです。そしてイライザはヘブンに日本へ行くことを勧めたのは私だと言いました。ヘブンは神秘的なものが好きだから、日本を世界に紹介できると思った、と。それを聞いて、ヘブンは松江を去るつもりだから、去る前にイライザに松江を見せようとして呼んだのだ、と錦織は思いました。わかっていたこととはいえ、やはり寂しい気持ちが押し寄せてきます。

トキは銀二郎と清光院に行きます。かつてここで意気投合した思いが甦ります。二人は松風の井戸の前で思い出を語り合い、次は月照寺へ向かいました。大亀を一緒に見ようと歩いて行くと、ヘブンとイライザ、錦織がいました。錦織がトキの前の夫だと銀二郎を紹介し、銀二郎は握手の手を差し出しましたが、ヘブンは挨拶をしただけで、その手をとることはしません。イライザとトキの間にも、なんだか妙な空気が流れます。

そうしているうちに、トキが大亀の怪談を知っているということがわかったとたんに、ヘブンは目を輝かせ「ハナス!シテクダサイ!」とトキに言います。事情がわからないという顔をするイライザと銀次郎に錦織が通訳しました。「毎晩、遅くまで家でおトキさんに怪談を聞いているそうです。」「先生はそれを書き物にしちょって。」とトキが言い加えます。トキとヘブンの間に誰も入る余地のない特別なものを感じ、イライザも銀二郎も嫉妬のような想いにかられました。

通い合う気持ち

トキがいつものように通訳なしで語り始めると、そこにトキとヘブンの世界が出来上がっていくのが手にとるようにわかるのです。イライザはヘブンはこの土地に溶け込んで、変わってしまったと、つぶやきました。イライザの英語の言葉がわからない銀二郎もなんとなく言っている意味がわかるのでした。

宍道湖を歩きながら、銀二郎は「怪談落語の牡丹灯篭を一緒に聞きに行く約束、覚えとる?」と聞きます。トキは覚えていると答え、銀二郎は行こう、そして東京でやり直そう、と思いを打ち明けました。

ヘブンはトキを女中だと言いますが、イライザはそうは思えませんでした。私と一緒にどこか暖かい土地へ行って、滞在記を書かないかとヘブンに言いますがヘブンは答えませんでした。

トキは銀二郎を、ヘブンはイライザを、花田旅館に送り届、家に向かいます。銀二郎は旅館の部屋から松江大橋に立っているトキとヘブンを見ていました。イライザが銀二郎に声をかけました。「You’re me,aren’t you?」英語はわかりませんでしたが、銀二郎はイライザの寂し気な声を察し「イエス」と返事をしました。

翌朝、ヘブンが花田旅館に行くとすでにイライザは発ったあとでした。イライザはヘブンに宛て書置きに、居場所を見つけたヘブンを祝福する言葉を綴っていました。また、銀二郎は松野家を訪れ松野家の人たちに頭を下げました。「すんません、諦めます。」銀二郎はトキを想えばこそ、トキの幸せを願い諦めると言いました。「おトキちゃん、いつか東京に怪談を聞きに来て。あの人とで、ええけぇ。」と、銀二郎はトキの背中を押すのでした。

松江大橋でトキとヘブンは顔を合わせました。

 

ヘブン
ヘブン

サンポ、イッテ、キマス。

 

トキ
トキ

私も…ご一緒して、ええですか?

微笑み合い、二人は歩きだしました。

第12週

第14週

 

 

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