伝書鳩は知っているけど、レース鳩?と思った方が多いのではないでしょうか。
伝書鳩は、昔々鳩の帰巣本能を利用して手紙、軍の司令などを遠くまで届ける役割を担った鳩です。
レース鳩とは
レース鳩とは、レースのために訓練された鳩を集め、遠く離れた土地から同時に放ち、巣(鳩舎)に帰るまでの時間を競うのです。
鳩の帰巣本能はとても高く、遠く離れた土地からも帰ってくることができます。
伝書鳩はその帰巣本能を利用したもので、1960年くらいまでは新聞社の屋上などで飼われており、事件などがあった場所に連れて行き、そこでの記事や写真フィルムを足に付け、新聞社に向けて飛ばしたのです。現代では伝書鳩が情報を運ぶことはなくなってしまいましたが、鳩の帰巣本能を生かした趣味として、鳩のレースを楽しんでいる人が全国におられます。
レースの内容
レースは、距離はその大会によって様々で、数百kmのものもあれば1000kmのも距離を飛ばすものもあります。また季節によっては台風や嵐に巻き込まれたり、鷹などの猛禽類に襲われることもあり、可愛い鳩の競争というよりは、過酷でドラマティックなレースなのです。
レースでは同じ場所から放たれますが、帰るのはそれぞれの鳩舎なので、公平にするため距離を正確に測り、鳩が帰ってくるのにかかった時間で割ることで分速を出し比べます。
漫画「レース鳩007」
子どもの頃「レース鳩007」(レースばとアラシ)という漫画を読みました。
アラシというのは主人公が飼っている鳩で(鳩が主人公かも)、レースの時付ける足輪の番号が「0777」だったことから、おいちょかぶで一番強い役「アラシ」にあやかって付けた名前です。
このレースの時付ける足輪が重要で、登場人物たちはみなそれぞれ鳩への想いを、番号の読みとかっこよくこじつけて付けていました。この足輪はレースの時、鳩の足に付けられ、帰ってきたら外して、時間を記録するための特殊な機械に入れるのです。
今では記録の取り方も帰ってきたら自動的に記録されるシステムが認められているようですが、漫画の中では、過酷なレースを終え帰ってきた鳩をすぐにでも休ませてやりたい気持ちをおさえ、涙ながらに足輪をはずし記録機に入れる飼い主たちの姿が印象的でした。
おまけ
新沼謙治さんがレース鳩をトータルで2000羽保有飼育し、レースにも参加されていたのは知る人ぞ知るところですが、奥さんが亡くなられ、新沼さんが仕事で留守の時に世話ができないこと、新沼さん自身もお歳を召されて、飼育が困難になったことから鳩は手放し、今はもう飼っていないそうですが、日本レース鳩協会の会員は続けられているとのことです。
鳩を手放した今でも会員でいるほど、レース鳩は夢と魅力があるのでしょうね。
興味を持たれた方は、漫画「レース鳩007」を読んでみるのも良いかもしれません。

