タカ派とハト派の違いをわかりやすく!右派左派ではない?

政治

政治における「タカ派」と「ハト派」

「タカ派」というワードをわりと頻繁に耳に、目にするようになった昨今ですが、主に政治的な姿勢を表す時に用いられる「タカ派」は、古い記憶では中曽根康弘元首相を思い浮かべる方も多いでしょう。

言葉の起源としては、1798年にアメリカの政治家トーマス・ジェファーソンが、連邦派を批判するときに「War Hawk」という言葉を使い始めたことに遡ります。これは、強硬的な外交政策を主張する人物や集団を指す言葉として使われ始めました。

この「War Hawk」を、日本では武力行使を厭わない姿勢や強硬な手段を辞さない政治思想を持つ集団や人を「タカ派」と言い換えて使い始めたということでしょう。

これに対して、平和主義的で穏健な思想を持つ集団や人を、平和で大人しいイメージの「ハト派」としたようです。

しかし、「タカ派」「ハト派」というのは、イメージが大きく作用しており、政策の一面だけを見て「タカ派だ」「ハト派だ」と決めつけるのは、少し短絡的といえるかもしれませんね。

右派=タカ派、左派=ハト派ということでもないということですね。

 

金融政策における「タカ派」と「ハト派」

政治家に用いられてきた「タカ派」「ハト派」ですが、近年では金融政策の場で使われることが多くなっています。

「タカ派」は、景気安定よりも物価の安定を重視し、物価上昇の抑制を優先する金融引き締め(利上げなど)に積極的で、景気の鈍化をある程度許容してでも、インフレ抑制を優先する姿勢が強いことを指します。

「ハト派」は、物価上昇を警戒しつつ景気刺激を優先し、景気に十分配慮する金融緩和(利下げなど)に前向きで、利上げには慎重な姿勢をとることを指します。

使われやすいのは、 「米国連邦公開市場委員会」など、各国の金融政策を決める会議のメンバーに対してで、特に、メンバーが代わる時には、その人の過去の発言などが調べられて、「タカ派だ」「ハト派だ」と言われ、メンバー全体のタカ派・ハト派度合いがどのように変わるのかに大きな関心が寄せられるようです。

ちなみに、英語でタカ派はhawk、ハト派はdove(ダヴ)であり、pigeonではありません。

このようにタカ派」「ハト派」は、、党の派閥など政治的な文脈と、日銀の金融政策決定会合における政策スタンスの文脈で、これらの言葉が使われているのです。

 

おまけ

公園や駅前などをおっとりと歩く姿や、大人しそうな鳴き声の鳩を、平和でおとなしい姿勢や人、傾向を鳩のようだとイメージするのは普通のことという印象ですが、実は鳩は凶暴な面を持ち、テリトリーに侵入するものには、激しく威嚇や攻撃をしてきたり、仕返しをしてきたりします。また、「レース鳩」という長距離を飛ぶ過酷なレースに登用されており、鳩が闘争心が強いことを示しています。

そんな狂暴な鳩が何故平和の象徴になったのでしょうか。

それは、ピカソの絵がきっかけであったと言われています。鳩を自宅で飼い、娘にもスペイン語で鳩を意味する「パロマ」とつけるくらい鳩が好きだったピカソが、1949年にパリで開催された国際平和会議のポスターに、白い鳩の絵を描いたのです。そのポスターが有名になり、鳩は平和の使者というイメージが世界中に浸透したといわれています。

「タカ派」も「ハト派」も単なるイメージで用いられたのものが、やがて意味を持って使われはじめ定着した、ということなのです。

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